東京地方裁判所 昭和46年(ワ)7194号 判決 1972年1月26日
原告 飯高武夫
右訴訟代理人弁護士 田宮甫
同 湯本清
同 堤義成
被告 久保澄子こと 古川澄子
被告 高橋伝三郎
主文
被告らは各自原告に対し、別紙物件目録記載の建物を明渡し、かつ昭和四六年五月一日から右明渡済に至るまで一か月金四万七、五〇〇円の割合による金員の支払をせよ。
訴訟費用は被告らの負担とする。
この判決はかりに執行することができる。
事実および理由
一 原告は主文第一、二項と同旨の判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求の原因としてつぎのとおり述べた。
(一) 別紙物件目録記載の家屋(以下本件家屋という)は原告の所有であるが、原告はこれを昭和四三年一一月二六日被告古川澄子に対しつぎの約定で賃貸した。
(1) 賃貸期間 昭和四三年一一月二六日から同四八年一一月二五日まで
(2) 使用目的 パーマ営業
(3) 賃 料 月額金四七、五〇〇円毎月末日限り翌月分前払
(二) ところが被告古川は昭和四五年秋頃原告に無断で本件家屋の賃借権を被告高橋伝三郎に譲渡し、爾後被告ら両名においてこれを占有している。
(三) そこで、原告は被告古川に対し昭和四六年四月三〇日同被告に到達した書面により本件家屋に対する賃借権の無断譲渡を理由に右賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
(四) よって、原告は被告らに対し本件家屋の明渡しを求め、かつ被告各自に対し連帯して賃貸借終了の翌日である昭和四六年五月一日から明渡しずみに至るまで月額金四七、五〇〇円の割合による賃料相当損害金の支払いを求める。
二 原告は別紙のとおり証拠を提出し、援用した。
三 被告高橋は当裁判所の適式な呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。
もっとも、記録によれば、本件口頭弁論を終結した昭和四六年一二月二三日の期日の同被告に対する呼出状は郵便送達により同年一一月一三日および同月一五日の再度にわたって届けられたが、いずれも不在のため同日から三鷹郵便局に同年一一月二八日まで保管され、受領にこないため当裁判所に返還されたことが認められる。しかし、本件においては、訴状および第一、二回口頭弁論期日の呼出状はいずれも適式に被告に送達されており、たまたま第一、二回期日が被告らの不出頭で延期され、前記期日が指定されたものである。
右のごとき事情のもとでは、同被告宛の郵便が郵便局に保管されているとのことから、それが本件に関する書面であることは容易に推察しうるところであり、たとえ同被告が右郵便を受取りにこなかったとしても、特段の事情がない限り、右呼出状は同被告に対して適法に送達されたものと解するを相当とする。
四 被告古川は公示送達による適式な呼出を受けたが、本件口頭弁論期日に出頭しない。
原告提出の甲号証の成立についての判断は別紙の該当欄記載のとおりであり、同記載の証拠によれば、右被告に対する原告主張の請求原因事実を認めることができる。
五 以上の事実によれば、原告の本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九三条を、仮執行の宣言について同法第一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 西村宏一)
<以下省略>